良悪の鑑別に苦慮した扁平上皮癌の一例

◎加藤遼(CT)1)、新美大弥(CT)1)、伊佐樹(CT)1)、泉原準也(CT)1)早川里美(CT)1)、櫻井包子(CT)1)、和田栄里子(CT)1)、伊藤秀明(MD)1)2)、都築豊徳(MD)1)3)

症例

右副鼻腔 60歳代 男性
膿性鼻汁、頭痛のため近医受診、右副鼻腔内反性乳頭腫の術後再発及び悪性転化の疑いのため、精査加療目的に当院紹介となった。篩骨洞の腫瘤性病変に対し、FNAが施行された。

細胞診所見

好中球主体の炎症細胞、少量の壊死物質を背景に、OG好性の扁平上皮細胞が多数出現していた。扁平上皮細胞は大型で多彩な形態を示し、細胞質は高輝度でN/Cが低いものの、核型不整、核腫大がみられ、一部に多核化を認めた。

組織所見

腫瘤は肉眼的に充実性で白色を呈していた。組織学的には、一部はわすかに内反性乳頭腫成分を残してはいるものの、大部分は著明な角化を伴う高分化型の扁平上皮癌の像であった。

まとめ / 考察

内反性乳頭腫の悪性転化を細胞診で捉えたのは稀である。頭頸部領域の扁平上皮癌は、時に本症例のような分化の高い細胞像を呈するため、判定には注意が必要である。

病院別